阿美螃蟹粥(カニ雑炊)/台南(台湾で食べられているカニの種類)

台南に、休日には大型バイクに二人でまたがりいろいろな所を巡っているグルメな友人ご夫婦がいるのですが、彼らが「すっごく美味しいカニ雑炊が食べられるよ!」というので、のこのこ台南まで行って参りました。それはもう期待大で、よだれたらしながら。

連れて行っていただいたのは、台南は安平區の運河路にあります、阿妹螃蟹粥さんです。中心街からちょっと離れたところにあり、いったいどこに連れて行かれるのだ…?と思いました。いま地図で確認しましたが、安億橋の手前ですね。周りはお店がいろいろある、というような賑わったところではなかったので、食事後はすぐに違う場所へ移動しました。

私が行った時もけっこう並んだのですが、比較的すぐに席につけたのでマシな方だよと言われました。ラッキー!お店の前に並んだ水槽(というかカゴ…?)の中から、自分で好きなカニを選びます。と言われましてもね、素人なんでカニの目利きとかできんのですね。(笑)どれがいいか悩んだら、店員さんに相談しましょう。

(余談)

そういえば、今まであまり意識したことがなかったけれど、台湾で食べているカニってなんていう種類なんだろう…?と思い、調べてみました。

 

台湾で一般的に売られているカニさんは、大きく淡水類と海水類に分けられ、さらに細かく分類すると、淡水類は臺灣傳統毛蟹と大閘蟹、海水類は蟳類や花蟹に三點蟹と石蟳などに分けられます。(名前は中国語そのまま表記してあります。)わかりやすく図にすると

  • 淡水類ー臺灣傳統毛蟹、大閘蟹
  • 海水類蟳類、花蟹①、三點蟹➁、石蟳③

といった感じです。この中で最も見分けがつきにくいのが「蟳類」で、さらに沙蟳系粉蟹系紅蟹系に分類されます。その三種類はいずれも、處女の三種類があります。公は身を、母は卵部分を楽しめます。(引用①)

一応図にしますと

蟳類

  • 沙蟳系處女
  • 粉蟹系處女
  • 紅蟹系處女

という感じになります。

 

またもう一つの分け方として「養殖蟹」と「漁で捕れた蟹」があります。台湾で販売されている沙公沙母紅蟳處女蟳並びに大閘蟹は、国内外で養殖されたものが並んでおり、比較的安定して仕入れられるため、一年を通して楽しめます。一方の野生のカニである花蟹三點蟹石蟳は季節や気候などの影響を受けやすく、収穫量は一定ではありません。(引用➁)

 

ところで、台湾で有名なのは「萬里蟹」だそうです。ウィキペディアに萬里蟹の日本語ページがありましたので、から引用させていただきます。

萬里蟹(バンリガニ、万里蟹とも)は台湾海産物のブランド。台湾新北市万里区地域で水揚げされた海ガニの総称で、その数は全台湾のカニ水揚げ量の8割以上を占めている。主な漁場は新北市富貴角沖の「西北漁場」。万里区の漁民たちは慣習で、蛍光グリーンのテトロンロープでカニを縛ることも萬里蟹の大きな特徴の一つとなっている。”(引用③)

だそうです。ということは、萬里蟹という種類であるというよりは「新北市の万里という所で獲れた蟹」であるということですね。

この万里という所で獲れた蟹は三種類に分けられるそうです。

  1. シマイガニ(花蟹
  2. ジャノメガザミ(三點蟹
  3. トウヨウイシガニ(石蟳

この三つ、先ほどの海水類、そして漁で捕れる、という話のところで申し上げた三大蟹であることは、もう言うまでもないことですね。

 

以下に、簡単にですがカニさんの特徴を書いておきたいと思います。

 

シマイガニ

日本では地方名として、トラガニゴトウガニキリストガニ。中国名では銹斑蟳斑紋蟳、地方名として花蟹十字蟳火燒公などと呼ばれることがある。甲幅は個体差はあるが平均11-15㎝程度、甲羅は六角形、甲羅の前淵に左右各6つの棘がある。色は個体差があるが紅~褐色で藍色の複雑な縞模様がある。甲羅の中央に十字架状の紅い地色の部分があり、このためキリストガニや十字蟹という地方名がある。(このためキリスト教徒からは、食用とすることは禁止されている。)藍色の部分は茹でたり蒸したりすると鮮やかな朱色に変わる。ちなみに香港では、2002年に発行されたカラフルな紫色の10ドル紙幣を俗に「花蟹」と呼ぶ。(引用④)

 

ジャノメガザミ

地方名にモンガネ、紋蟹など。甲幅12㎝前後で、甲羅の前方は丸く後方は台形。左右に強く長い棘がある。甲羅に3つの明瞭な蛇目型斑紋(外が白、中が黒)がある。オスのハサミは長く甲羅は左右に長い。旬は不明で、年間を通じてあまり味が変わらない。(引用⑤)

 

トウヨウイシガニ

日本語での詳しい資料が見つからず、中国語の資料から引用。大きなハサミに、甲羅は厚く硬く、表面は見た目にも粗さがある。(引用➁)

 

また、この他にも

  • 沙公(別名:青蟳、菜蟳とも。一年を通して楽しめる。身体もハサミも比較的大きい。身体が青く甲羅の縁には棘があるため「鋸緣青蟹」と呼ばれることも。)
  • 沙母(沙公と同じ種類。沙公に比べハサミが小さく、身体も丸みを帯びていて楕円に近い。)
  • 處女蟳(まだ交配を行っていない沙母のことであり、見た目は沙母と同じ。腹部には未授精の卵である蟹膏と呼ばれるミソがある。また、身も柔らかく弾力がある。)
  • 紅蟳(一年を通して楽しめるが、中秋前後が最も美味しい。處女蟳と同じ種類の母(沙母と同じ母)であり、交配済みで卵巣が成熟している。沙母と比べると足に斑の模様が無く、身体も小さい。身は少ないが、濃厚な卵が特徴。大量に捕れるので、比較的値段が手ごろ。)

などがあります。

せっかくなので、お店で撮ったカニさんの写真を載せたいと思います。

このカニさんはどの種類でしょうか…?お店には沙公、沙母とあと何種類かあったのですが、沙母な気がしません…!?ちょっと丸みを帯びている気がしません!?

好きなカニさんを選んでしばらく待ちます。お店の壁にも書いてありますが、ちょっとお時間待つことになります。しょうがないですね、カニを選ぶところからはじまり、そこからお粥つくってくださるんですから。むしろこの待ち時間のおかげで、期待がむくむくと大きくなっていきます。

ついに、カニがドーーンとのったお粥が出てきました。

よく台湾人が「台南は味付け甘めだ」と言っているのを耳にしますが、こちらのお粥もほんのり甘め。カニさんの味がよく染みていておいしいです。

さっきのカニさん…ありがとうね…美味しくいただいたからね…!

お粥でお腹いっぱいになったので頼みませんでしたが、お店には他にもお魚のスープや揚げ物なんかも売っていました。あ!飲み物は準備していった方が良いかもしれません。買えないこともないですが、種類が限られるといいますか。

以上です!今回も余談が長すぎてすいませんでした!お粗末様でした。

阿美螃蟹粥

台南市安平區運河路10號

営業時間

月曜日:6時~14時(休憩)17時~20時

火曜日:お休み

水曜・木曜日:6時~15時

金曜日:6時~14時(休憩)17時~20時

土曜日:6時~17時

日曜日:6時~19時

(Facebookページより抜粋。お休みについては事前に再度確認をお願いします。)

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参考・引用文献

  1. 臺北市產業局-台北饗樂趣/【什麼是沙公?沙母?處女蟳?秋天相揪吃蟳趣】
  2. 自由時報/【圖解】秋天螃蟹品種多,花蟹、紅蟳、沙公誰是誰?
  3. Wikipedia/萬里蟹
  4. Wikipedia/シマイガニ
  5. ぼうずコンニャクの市場魚介類図鑑/ジャノメガザミ

 

初版 2018年7月

第二版 2021年3月